シリーズ学習③音読のススメ

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こんにちは。まっちゃあずきです。

「勉強は静かにしてやるものだ」とお考えの保護者の方はけっこう多いと思います。

確かに“じっくり考えて解答を導き出す”というような性格の科目はそうでしょうが、声を出したほうが勉強の効率がよりアップする科目もありますし、このほうが好ましい場合が多いことをご存知でしょうか。

 最も代表的なのは、国語や英語などの語学系ですが、実は社会や理科などの暗記内容が多いもの、数学の文章問題なども実は音読が関係しています。

 今回は、私たち日本人が忘れてしまったいわゆる寺子屋学習をもう一度取り戻すべきだという話。

学習の基本は「読み書きそろばん」の寺子屋式

寺子屋学習の基本は「読み・書き・そろばん」ですね。これが学習の本質なんだと思いますよ。

時代劇で一度は目にしたことがあるんじゃないかと思います。

畳の上に長机をおいて、正座した子らが教師の音読に続いて大きな声で復唱している姿。「子、のたまわく~」って。あれは漢文です。普段使いをしない言語。

寺子屋が発展したのは江戸時代ですから、外国人との会話に重点を置いたものではなく、日本人同士の常識として、いわば道徳教育のようなものだとも思いますが、ここで大事なのは、音読をしていたという点ですね。

今の教科書のようなものは高価で一般庶民には手が出せないものですから、暗唱して覚えるわけです。つまり、「読み」とは「暗唱・暗記」に他ならないわけであって、決して読解ではないということ。

「書き」や「そろばん」は言わなくてもいいでしょう。

この3つのうち、現在の教育で失われているのが「読み」。すなわち、音読ですね。

この音読を軽視し始めたのは、私の推論で申し訳ないですが、おそらく、「スポ根」や「熱血」が「ださい」「カッコ悪い」と世間に浸透し始めたころからだと思います。

それまでは、暗記や音読を泥臭く、ただただひたすらやっていた言わば「力任せの勉強」をしていたと思いますし、また、それで結構何とかなっていた。

教育現場でも、特に小中学校では教科書の音読をルーティーンとしてやらせていたはず。

それがいつの間にか、教育現場で音読をさせようとしても、子供の声が出ない。子どもが声を出さなくなったからやっても無駄だといわんばかりに音読が減っていったような気がしています。

音読の効果

さて、この音読の効果です。

私は予備校時代を含め、およそ二十五年間、英語や国語はのみならず、特に社会の授業では、意識してやってきました。今年から、教壇で集団授業というものをしていないので、昨年までの実績で語ります。

社会科の場合、授業というのは意識しないと基本垂れ流しになりますよね。生徒は板書を写すだけ、といった作業になりやすい。

ノートさえとっていれば授業に参加している気分になる筆頭の教科。それが社会。だからこそ、覚えるのが苦手、点数が取れないと嘆く生徒が後を絶たない。

だから、重要語句は復唱させます。

例えば、「小選挙区比例代表並立制」という言葉。

こんなの一回書いただけで覚える生徒はいません。

最低でも3回は復唱させる。5回も言えば、たいていの生徒は覚えます。

また、中3では憲法の条文がテストにはよく出題されます。

だから、よく出る条文を板書し、語句を少しずつ消して何度も復唱させる。これで覚えなかった生徒はいません。

授業の最後の部分を使って、暗唱出来たら帰っていいとかやれば、みんな必死に覚えます。

例として憲法九条をやってみましょう。

九条①日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇、または武力の行使は、国際紛争を解決する手段として永久にこれを放棄する。

②前項の目的を達するため、陸海空軍、その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。

はじめに、すべて板書します。面倒くさくても書きます。生徒にはプリントを配布しておき、板書の最中は音読させておくといい。

板書が終わった段階で、全員に板書を注目させ、はじめは教師が読みます。早口でも構いません。

次に、フレーズ毎復唱させる。なるべく、ゆっくりと明瞭に。大体2回~3回。

次に、板書した条文の語句を消します。

こんな感じ。

九条①日本国民は    と秩序を基調とする国際   を誠実に希求し、   の発動たる   と武力による   、または武力の行使は、国際   を解決する手段として永久にこれを   する。

②前項の目的を達するため、陸海空軍、その他の戦力はこれを保持しない。国の   はこれを認めない。

消した状態で、教師と一緒に読んでいく。多少覚えていなかろうが、教師が読むので大丈夫。これも2回ぐらいやれば覚えます。消す数に注意してください。はじめは「少ないかな?」と思えるくらいでちょうどいい。だんだん消す数を消していく。

九条①日本国民は     と    を    とする国際     を誠実に    し、    の    たる     と武力による     、または武力の     は、国際     を解決する    として永久にこれを     する。

②前項の    を達するため、陸海空軍、その他の    はこれを     しない。国の     はこれを    ない。

このぐらいまでは10分内でいけますよ。最終的には、助詞だけ残して全消しです。このレベルになるまでにはほとんどの生徒は暗唱できます。そして、これによって、憲法条文の覚え方をこうするといいよと言っておけば、後の条文にいちいち時間をとることをしなくてもいいと思います。あとはみんな自分でやろうと一言添えてください。

社会の先生は一度お試しあれ。

もちろん、古文もそうですね。学校では暗唱できるように指導はしないくせに、成績に入れるぞ、覚えて来いよ。これだけ言ってお仕舞。ちょっと、いい加減だねえと思ったので、同じようにやりました。全員、きちんと覚えられます。大丈夫です。

英語だって同じ。とにかく、語学系の教科において、声を出させる。復唱させる。音読させるというのは、現代において教育現場ではおろそかにされてるのがいかに愚かなことか。

寺子屋に戻るべきものは戻る。一度、皆さんも考えてみてほしい。